2008年06月24日

歴史街道をゆくWebデザイナーその八

 東寺は人で溢れかえっていた。

そこら中に来訪者の供の者たちがひしめいており、

境内や堂の周りには警護の織田勢が所狭しと槍を並べて立っている。

紹巴はその人ごみの中を案内の者と縫う様に進んだ。


やがてひときわ大きな堂の中の、小さな板敷きの部屋に通された。

何の装飾品もなく壁には唯一書が掛けてあるだけの簡素な間である。

誰が画いた書であろうか。

廊下からは絶え間なく往来する者たちの衣擦れが聞こえる。

事前に訪れる旨は伝えてあるが、これは少々待たねばならぬようだ。



 信長は東寺を宿としていた。

国家鎮護の東寺は、天下統一を目指すシンボルとして格好の存在だ。

ますます信長の存在を天下に印象付けるだろう。

だが、宿としてはどうか。

80年ほど前の火災で主要堂塔のほとんどが焼けてしまい、

一世紀近くそのほとんどが再建されていない。

今並んでいる堂塔の多くはほったて小屋のようなものだ。

信長はその中でも来客に耐えられるであろう大師堂で来訪者たちと謁見していた。

申次の者が廊下へ消え、近習の者が次の謁見者の名を告げる。

「次は里村紹巴殿でござりまする。」



Webデザイナーが妄想する歴史街道。
続きはまた明日。

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